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今日もみなさんの斜め上から自分を戒めています。

【後編】こえび隊になって瀬戸内国際芸術祭をエンジョイしたけども!

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【後編】こえび隊になって瀬戸内国際芸術祭をエンジョイしたけども!

昨日アップした前編に引き続き、後編です!今回は人手不足と言われているこえび隊に実際に参加した経験から芸術祭とボランティアの関係について主に自分なりに思うこと考えたことを書き綴ってみます。

※あくまでもわたし個人の体験・感想に基づく論考ですので、上げ足取りのクソリプは華麗にスルーいたします。

こえび隊は人手不足って本当?

こえび

「こえび隊」で検索すると、他のキーワードで真っ先に「こえび隊 人手不足」と出てきます。

行くまで「え、そうなの?!」って感じだったのですが、実際に行ってみると「なるほど人手不足だな」という感じでした。

人手不足には当然理由があります。前編でもちらっと書いたのですが、以下の要因が挙げられます。

・夏だから暑くてボランティアを敬遠しがち

わたしの参加した夏会期は夏なのでめちゃくちゃ暑いです。

場所によっては屋内の快適な場所で室内での作品受付だったりするのですが、屋外で作品受付を行う場合もあります。あくまでも体感ですが、屋外の方が多いでしょう。そのため、何人か熱中症でダウンするこえびさん(※「こえび」というのは瀬戸内国際芸術祭のボランティアの愛称です)もいました。特に高齢の方が多かったです。

基本的に1日拘束で、会場に来られるお客さんの対応をするため休憩などは自由にとれるわけではなく、おまけに暑くて暑くて日差しもキツイ。

そうなると「夏はちょっと・・・」とこえび隊になるのを敬遠する方も少なからず出てくるのではないでしょうか。

・集合時間が早くて夜型人間にはちとキツい

集合場所などによって多少違いますが、高松港集合のこえび隊は朝7:15に集合です。結構朝早くないですか?

普段夜型人間で2時とか3時とかに寝ているわたしには大変な努力でしたww昼間の眠気をやり過ごすのはかなり大変でした。

朝弱くて早起きが苦手な人はかなり頑張らないといけないです。

・平日は特に人員確保が大変

当たり前ですが芸術祭は会期中毎日オープンしています。休みなど1日たりともありません。そのため会社員の多くが働いている平日はとりわけ人手が足りません。どうしても学生さんや主婦の方、年金生活のおじいちゃんおばあちゃんが多くなります。

で、人手が足りないと当然いる人たちだけでなんとかしなくてはならないので、必然的に一人ひとりの負担が大きくなります。ボランティアといえども容赦はありません。直前にシフトが変わったりすることもあるし、(初めての方は基本的に誰かとペアで受付になるのですが)一人でやることもあるし、休憩をまわす人がなかなか来なくて思うようにお昼休憩にいけないとかトイレにいけないということが起こります。

もちろん対策が全くなされていないわけではなく、なるほどな!と思う工夫(施策?)もあります。

たとえば「地域の大学と連携してこえび隊に参加すれば単位がもらえる」とか「協賛の会社の従業員をボランティアとして派遣してもらう」などが行われており、わたしも実際にそういう方たちとも一緒に活動しました。

芸術祭の厳しい運営事情

じゃあなんで人手を増やせないの?アルバイトとかで雇えばいいじゃん??って思う方もいるでしょう。

いい考えです。そりゃそうだ!でも、お金がないんですよきっと!!

だからボランティアにがんがん協力してもらっているのです。

基本的に芸術系のイベントはいつでも資金不足に悩まされています。海外からもたくさん人が来るくらい有名でビッグな瀬戸内国際芸術祭といえどもそうなのです。

理由は簡単で、「芸術は必需品ではないから」です。別に芸術なんてなくても人は生きていくことはできます。食べ物と水と雨風凌げる家とあったかい家族がいればOKでしょう。残念ながらこれは事実です。

だって命の危険が迫っているときに、「ああ、いま目の前にゴッホのひまわりがあればなあ~」なんて絶対思わないですよね?防弾チョッキとか盾とかを欲する状況ですよね??

というわけで、芸術は必需品ではなくぜいたく品とみなされます。日本は特にその傾向が強いです。

日本では国も企業も学校も芸術にかけるお金/時間/エネルギーの割合はとっても低いです。

いまの状況だと芸術より福祉問題にお金を投じよう!ってなっちゃいますし、学校では美術の時間より体育の時間の方が多いし、ほとんどの会社のオフィスなんて芸術性のかけらもない非人間的で殺風景な地獄ですよね?・・・おっと口が滑りましたw

そのため芸術祭をやるぞ!!といっても開催・運営するための資金繰りがめちゃくちゃ大変だったりするんです。

そのため削れるところはがんがん削ってがんばろう!となるんですね。

お金がないとどうなるの?

芸術を愛する者の一人として、これからも芸術祭は続いていってほしいと願っています。そのためには続けられるような仕組みをもっとしっかり確立していかなければなりません。

瀬戸内国際芸術祭レベルの規模はいろいろな企業がスポンサーとしてついているので少し事情は違いますが、小規模な芸術祭/アートプロジェクトの類は企業のスポンサーよりも国や地方自治体の助成金に頼って運営を行っているところが多いです。

助成金に頼って運営するとどうなるか想像できますか?

助成金をもらうためには審査に通る必要があるので、企画・応募の段階で行政ウケするものを考えがちになります。また、芸術祭実施後も報告などが必要になるので、応募通ってお金もらったし申請したのと違うプランでやっちゃお☆、なんてことはできません。つまり応募~実施後までずっと行政の顔色を伺わないといけないのです

また助成金は一度もらったらずっともらえるわけではなく、年度単位のものが多いです。

そのため年度単位でしか計画が立てれず、3年5年10年といった長期計画を立て辛くなります。

収入が不安定なのです。ゆえに事務局スタッフの給料も不安定なケースが多く、なおかつたくさん人を雇えないので属人的になってしまい後進もなかなか育ちません

 

それでも芸術っていいもんだ

前述したように、芸術は必需品ではなくぜいたく品だといえます。

たしかに身の安全を守ってくれるものではありません。しかし高揚感、安らぎ、生きている喜びなどなど心に関する多くのことを芸術は与えてくれます。

わたし自身も大学生のとき人間関係や進路でかなり悩んでいたときに岡本太郎の作品を美術展でみて、ものすごく元気をもらうことができました。(この話はおいおい書きます)

日本では身の危険におびえることもないし、明日食べるものに困るという人も少なくなりました。だからこそこれからは身のことではなく、心の豊かさに寄与する芸術の良さについてもっと多くの人が理解してくれるといいのにな!と思っています。

これからわたしがやっていきたいこと

「もっと芸術/アートに親しむ人を増やしたい!」

「芸術家/芸術にまつわる職業の地位をもっとちゃんと成り立たせたい(待遇とか?実情はかなりブラックですからホワイト化させたいです・・・!)」

と考えており、いろいろ活動を展開していく予定です!

・各地のボランティア体験(越後妻有のこへび隊、さいたまトリエンナーレのボランティアなどなど)

・アーティストが稼ぐための小商い講座

・アート好きやアーティストに勧めたいナイスな美術館/WEBサービスまとめ

・アート系読書会

などなど、思いついたらこちらに追加していきます!!

おまけ:あわせて読みたい芸術祭とボランティアについての記事

大型アートプロジェクトを支えるボランティアの仕組み~瀬戸内国際芸術祭サポーター「こえび隊」~

ちょっと古い記事ですが、こえび隊の事務局側の視点で瀬戸内国際芸術祭について書かれています。

成功している芸術祭、失敗している芸術祭の本当の理由

こちらは瀬戸内国際芸術祭と札幌国際芸術祭の対比を通じて、成功する芸術祭とはどういうものなのかについて書かれています。「ボトムアップ」がキーワードですヨ。

 

ネットの記事と合わせてこちらの本もおすすめです!

 

・「美術が地域を変えた」確かにそうかもしれないと思わせる一冊

 

こちらは最新刊!瀬戸内国際芸術祭を牽引してきた、北川フラム氏とベネッセの福武總一郎氏の初の共著です。(今まで芸術祭関連の本はたくさん出てるのですが二人の初の共著というのはちょっと意外でした)

直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた

・海の芸術祭と山の芸術祭でつくりかたを比べてみるのもいいですね

 

こちらは北川フラム氏の別のプロジェクトである大地の芸術祭についての本です。同じ人がディレクターになっていますが海と山、異なる場所での芸術祭のつくりかたはどうなっているのかを比較してみると他の芸術祭に関しても発見があるかもしれませんね。

美術は地域をひらく: 大地の芸術祭10の思想 Echigo-Tsumari Art Triennale Concept Book